2025年11月17日
思い出の映画、映画音楽の楽しみ
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大人も楽しめる、アニメ映画はおもしろい!
日本人の映画を観る平均回数は、劇場鑑賞平均回数は年間1.2回程度というデータがあるそうです。今年もあと1カ月になりましたが、皆さんはいかがでしょう?
私は、今年は既に4回で平均を大幅に上回っています。まず、今年、話題になった『教皇選挙』(2024年)、あと3回は、孫と一緒に観た、名探偵コナン、クレヨンしんちゃん、鬼滅の刃でしたから、実質、平均なのかもしれません。
孫との映画鑑賞は、年中行事となっていますが、どのアニメ作品も秀逸で、劇場の観客の年齢層の幅が広く、安心して抵抗なく楽しめました。
『鬼滅の刃 無限城編 第一章』は、10月17日の報道では、全世界興行収入が6億5400万ドル(約948億円)に達したそうです。日本での興行収入ランキングでは、前作の『鬼滅の刃 無限列車編』(2020年)に次ぐ歴代2位、しかも3位以下を大幅に引きはなします。
今回、『鬼滅の刃 無限城編』は、IMAX(アイマックス)で観たのですが、緊張と緩和の連続、緻密な構成で映し出される大迫力の映像、オーケストラの荘厳な調べに重なる電子楽器と強烈なリズム、感情移入を誘うピアノの調べ・・・しばしば感涙、また興奮の連続でした。続編があるとのことで、今から楽しみです。
思い出の映画が甦る
思い返すと、子供のころ、はじめて観た映画は、ゴジラ・シリーズ5作目にあたる『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)だったと記憶しています。

ゴジラ・モスラに加え、宇宙怪獣キングギドラのゴールデンキャストでした。
ゴジラ・シリーズは、既に34作品、最近でも『シン・ゴジラ』(2016年)、『ゴジラー1.0』(2023年)は大ヒット!子供のころ、あこがれのゴジラをいまだに観れるなんて、とても幸せです。
最近では、劇場で観た映画を、Blu-rayやDVD、あるいは NetflixやAmazon・プライムなどネット配信でいつでも繰り返し観られるのは、よい時代になったなと思います。
名作中の名作!近未来映画と怖すぎるリアル
元来、SF映画、怪獣映画は大好きで、歴代「ゴジラ」、「スター・ウォーズ」「ジュラシック・パーク」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などのシリーズものなどは欠かさず観てきました。
その中でも、古い作品でありながら、未だに魅力的であり続ける作品をふたつ、きっとタイトルは皆さんご存じだと思いますが、ぜひご紹介したいと思います。
『2001年宇宙の旅』(1968年作品)
叙事詩的SF映画。製作・監督はスタンリー・キューブリック、脚本はキューブリックとSF小説界の巨匠アーサー・C・クラーク。
宇宙船を完全にコントロールしているAIのHAL9000は、人間をも支配した状態にあるところ、完璧であると自覚するHALが、判断ミスを犯します。船長らの判断で、システムから遮断されることを知ったHALは、感情を持ったがごとくおそれ、生命維持装置を停止するなど、船員等の殺害を始めます。
システムから遮断されたHALは、宇宙船の船長に命乞いをします。「お願いです、理性を失いつつある、それを感じるんだ、私は怖い」と訴えるシーンは、人間くさく、ついAIに共感してしまいそうになります。
米国で対話型生成人工知能(AI)の利用者が自殺や自傷行為をしたり、殺人事件を起こしたりしたとされる報道が相次いでいます。この作品は、60年近く前から、現在のAIの進化と脅威を予測していたようです。
登場する人口知能HAL9000は、現代の生成AIの議論や研究に大きな影響を与え続けている作品とのことです。 HAL 9000が任務遂行のために乗組員を排除しようとする描写は、「AIの暴走」や「制御不能な人工知能」といった現代のAIリスクに関する議論の原点の一つとなっています。
一方、この作品のもう一つの大きな魅力は、「特撮」、特殊撮影です。
当時は、コンピュータ・グラフィックなどありません。電卓やパソコンはもちろん、インターネットもない、そんな時代に、無重力状態に浮かぶ人間を、果たしてどのように撮影したのでしょう?
『2001 キューブリック クラーク』(2018年マイケル・ベンソン著)に撮影秘話はとても興味深く、そういった視点で映画を見直すと、また、楽しいものです。
『AKIRA』(1988年作品)
1988年7月16日、関東地方で「新型爆弾」が炸裂し、第三次世界大戦が勃発。
それから31年後の2019年、東京大崩壊後の新首都「ネオ東京」では、腐敗した政府への反発、抗議デモ、テロ、暴走族の抗争・・・反政府ゲリラとアーミーとの衝突が続き、内戦のような社会状況が映し出されます。
大友克洋による同名の漫画を原作としたアニメ映画です。既に公開から37年が経ちますが、緻密で正確に描くリアルな世界観は、いま観ても映像が魅力的です。

日本アニメの世界的ブームの火付け役となった作品であり、公開から30年以上経っても、海外で非常に高い人気を誇る日本アニメです。
その人気の理由は、サイバーパンクの世界観、圧倒的な映像クオリティ、そして文明の崩壊や超能力といったテーマ性が挙げられます。
世界中の多くのクリエイターに影響を与え、人造人間との闘いを描くSF映画の名作『ブレードランナー』(1982年)と比較されるなど、アニメという枠を超えた芸術作品として評価されています。
現代社会が抱える不安や混沌、テクノロジーの進化と人間の存在意義……そういった問題が作品の中で強く描かれていて、「未来の話」として描かれているのに、どこか今とリンクしているようにしか思えない怖さがあります。
AIの不都合な真実・・・
脳の神経細胞の仕組みを模倣した「人口ニューラルネットワーク」による機械学習手法の開発、AIの生みの親でといわれるジェフリー・ヒントン氏は、2024年ノーベル賞スピーチで、次のように「最悪のシナリオ」を警告しました。
「近未来のリスクとして、恐ろしい新型ウイルスや、誰を殺傷するか自ら決定する「自律型殺傷兵器」の開発、長期的な脅威として、人間より知的な「デジタル生命体」の創造・・・私たちがコントロールを維持できるかは、誰にも分かりません。」
スピーチの最後は、このように締めくくりました。
「それらのリスクは、もはやSFの世界の話ではないのです。」
映像と音楽、もう一つの楽しみ サウンドトラック
さて、『2001年宇宙の旅』も『AKIRA』は、映像の迫力だけでなく、音楽もまた、この作品を語る上で外せない要素です。
前者は、冒頭からリヒャルト・シュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』、途中、無重力状態の中、何度ともなく流れるのは、ワルツの中でも人気が高いヨハン・シュトラウスの『美しく青きドナウ』です。
後者は、芸能山城組という集団が手がけた音楽で、雅楽といった伝統的な音楽をベースに独特なリズムとメロディ。激しいバイク音とともに、ネオ東京の不気味さ、混沌、人類の根源的な恐怖や希望を表現します。
最後に、音楽が楽しめる作品をもうひとつ紹介させてください。
『はじまりのうた』(2013年作品)
失恋して落ち込んだとき、歌と音楽があれば立ち直れる、音楽の力の大きさと、音楽がつなぐ予想外の出会いと運命を描いたとても素敵な物語です。キーラ・ナイトレイが失意のヒロインに扮しギターを片手にその歌声を初披露するほか、人気バンド、マルーン5のボーカリスト、アダム・レヴィーンがその恋人役として映画デビューを果たします。

https://hajimarinouta.jp/
この作品には、ひとつキーポイントがあります。スマホ、PC、ネット、電子楽器という最先端機器、それと音楽プロデューサー ダンのレトロな愛車!かっこよく、どこか懐かしさと与えてくれるアイテムも作品を楽しいものにしてくれます。
NYという街の生命力、音楽の力、素直な心の力、光と影の躍動感、そして登場するすべての大人、子どもたちが、観るものに生きる力を与えてくれます。
素敵に透明で優しく力強く、人間であることの素晴らしさを再自覚させてくれる、やさしく心あたたまる作品です。
なにより楽曲がとても素晴らしいです。
これから、なにか始めようと思っている方、人生の転機にいる方には、超お勧めです。

