コラム Column

2023年12月18日

アメリカのスポーツビジネスについて

皆様おはようございます。年末お忙しい中、いかがお過ごしでしょうか。

 さて早速ですが、私の趣味の一つにスポーツ観戦があります。その中でもアメリカのスポーツを良く見ていて、多くの時間を費やして動画鑑賞しています。アメリカの四大スポーツと言われているのは、MLB(野球)、NFL(アメリカンフットボール)、NBA(バスケットボール)、NHL(アイスホッケー)で、それぞれ世界中から一流の選手が集まってきています。

 直近では、大谷翔平とロサンゼルス・ドジャースが、10年間7億ドルという大型契約を結んで話題になっていますね。1米ドル145円換算で約1015億円と一般人の私には全く実感がわかない金額です。
このようにアメリカではスポーツが一大ビジネスとして成立していて、球団が投資の対象になったりという側面もありますが、選手にとっては一攫千金とも言えるような年俸をもらえるという夢があり、世界中から優秀なスポーツ選手が集まってくる状況を実現しています。

 四大スポーツの中でも私が最も好きなのは、NFL アメリカンフットボールです。ポジション別に体格も違ってきますが、全体の平均で身長190㎝、体重110㎏くらいの選手がぶつかり合う迫力。もちろん体脂肪率は平均で15%弱と全く太っている感じではないので、本当にすごいですね。
同時に様々なポジションの選手が、1プレー毎に定められたアサインメントに基づいてプレーを行う高度な戦略、戦術も見ていて面白いところです。

 私の個人的な感想はこれくらいにして、ビジネスという観点でNFLを見てみます。総売上は少し前のデータですが、日本円換算で約1兆5000億円弱に達すると見られています。今のコミッショナーは2027年までに年間250億米ドル(現在の為替換算で約3兆6000億円!)を目指すと公言しているようです。
上記の売上の中には、テレビ放映権収入、チケット売上、ライセンスグッズ売上、スポンサーシップ収入があります。
ここまでは規模の大きさは別にするとイメージしやすいですよね。

 長年のビジネスとしての拡大過程で良く考えられた仕組みはここからです。
 NFLは現在各都市に32チームがあり、レギュラーシーズンは各チーム17試合と4大スポーツの中では比較的少ない試合数なのですが、できる限り戦力を均衡させる仕組みを作って最後まで白熱した試合を増やして盛り上げ、観客動員や収益につなげるという基本スタンスがあります。

具体的な施策としてピックアップすると下記の2点があげられます。

①レベニューシェアリング
 上記売上区分のうち、テレビ放映権収入やライセンスグッズ売上、スポンサーシップ収入のほとんど全ては各チームではなく、リーグが全体して管理しています。チケット売上も一定割合をリーグが取ります。従って放映権の交渉においてメディアに対する交渉力が増したり、全体として整合性のとれた施策を取れたりするわけです。
 その代わりにリーグが得た収入から運営費等を差し引いた残りを、各チームに均等に分配します。従って各チームの収入は偏りが少なくなり、格差が生まれにくくなります。

②サラリーキャップ
 一方で各チームの支出についてもリーグ側が制限を加えています。各チームの支出で大きな割合を占めるのがご想像の通り所属する選手の人件費ですので、その上限をサラリーキャップとして定めています。
 毎年見直しがされますが、年間の選手給与総額の上限を定めることで、その範囲で選手の補強を行うこととなります。これによってオーナーの財力等に関係なく、各チームが資金面では同じ土俵の上でチーム構成を行うことで、戦力均衡化が図られるのです。

 その他にも前年順位の低いチームから順番にドラフト指名ができる完全ウェーバー制ドラフト等色々な戦力均衡化策もありますが、少しビジネスからは外れるので今回はここまでとさせていただきます。

 大谷翔平が契約金額の大半を後払いにしたという報道もなされていました。MLBとNFLでは少し制度が異なりますがサラリーキャップという考え方がベースにあることを考えるとより理解ができると思います。スポーツは夢を与えますし、私にとっても娯楽としてなくてはならないものですので、選手も球団もファンもみんながWIN- WINになるシステムをアメリカだけでなく、日本を含む全世界で模索していって欲しいですね。ビジネス全体に広げても大切な考え方かもしれません。

長文にお付き合いいただきありがとうございました。良いお年をお迎えください。

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