コラム Column

2021年04月30日

法人保険名義変更プラン 国税庁が封じ込め

法人保険名義変更プラン

古くから法人の利益の繰り延べ対策に使われてきた生命保険。

2019年に大きな通達改正があった後は、基本的には、生命保険で利益の繰り延べはできなくなりました。

法人マーケットで生保販売を行ったきたセールスパーソンは、今更個人マーケットに注力することはできません。なんとか法人に生命保険を売りたいセールスパーソンが生み出した売り方が名義変更プランです。

 

「名義変更プランって前からあるよね?」と思われる方、その通りです。

名義変更プランはかなり前から法人保険の提案手法としてはありました。この名義変更プランが、より一般的な提案手法として広がったのは、今から10年少し前からでしょうか。

以前の名義変更プランは、法人で逓増定期保険などを契約し、解約返戻率が低い時期に、生命保険契約を法人から個人に名義変更するというものでした。2019年の通達改正以降の名義変更プランも解約返戻金が低い時期に、生命保険契約を法人から個人に名義変更するといことは変わらないのですが、法人マーケットで生命保険を販売したいセールスパーソンの提案が、この名義変更プランに集中したのがマズかったようです。

 

2019年の通達改正以後、ピーク時解約返戻率の高い逓増定期保険は、払込保険料の損金算入割合が小さくなりました。利益の繰り延べ効果はなくなり、国税庁の目的は達せられたかに見えました。

ところが、逓増定期保険を返戻率の低いタイミングで法人から個人へ名義変更すると、名義変更のタイミングで、払込保険料の資産計上部分が法人の損金として実現してしまいます。保険料を払うタイミングではなく、法人から個人へ名義変更するタイミングで法人で大きく経費計上でき、節税につながるのです。

 

2021年3月16日に、国税庁が生保各社に課税手法を見直す検討に入ったと日経電子版で報じられました。

2021年4月28日に「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について」に対するパブリック・コメントの公募が開始されました。パブリック・コメントの資料から読み取れる改正内容は次の通り。

①対象契約

令和元年(2019年)7月8日以降に締結する保険契約に適用(同日前の契約は対象外)

②適用期間

令和3年7月1日以後に行う保険契約等に関する権利の支給(名義変更)

③保険契約に関する権利の評価

支給時期解約返戻金の額が支給時資産計上額の70%に相当する金額未満である保険契約等に関する権利を支給した場合には、支給時資産計上額により評価

 

名義変更プランは、解約返戻金が著しく低いタイミングで法人から個人への名義変更を行う前提でプランニングされています。つまり、名義変更プランを目論む生命保険契約の名義変更予定時の解約返戻率は、法人の保険料資産計上額の70%に届くはずがないため、法人の保険料資産計上額で個人が法人から生命保険契約を買い取る必要があります。

法人側は資産計上額で資産を売却するため、損失は生じません。個人は、高い金額で生命保険契約を買い取らなければなりません。意味がないのでこのような取引は行わないということになるでしょう。

法人でそのまま保険契約を維持しても、ピーク時の解約返戻率は、税効果を入れても100%にはとても届きません。法人が保有する名義変更目的の生命保険契約は、単にキャッシュロスして終わる保険契約になってしまいました。

 

誰が悪いという訳でもないと思いますが、税制改正の大きな流れをみながら「どのようなタックスプランニングを採用するか」ということを検討する必要がありそうですね。

 

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